防衛費増額の後に話題になっているのが子供手当、政府は異次元の少子化対策として推し進めています。しかし、その素案を見ると私には中途半端に見えてしまいます。表現が悪いかもしれませんが、馬の鼻先に人参をぶら下げれば一定数出生率は上がるかもしれません。現役の子育て世代、これから結婚する人たちには有難い政策ですが、これから生まれてくる子供の100年という長い人生が安心できるものなのか?
日本・世界にはあらゆる問題が山積みですが、2023年時点での世界人口は80億人と言われ、数億人の人々が飢えている状態です。2050年には更に20億人増えて世界人口は100億人に達すると予測されており、最大のリスクである地球温暖化で考えると、砂漠化により農業に適さない土地が増え、その他、天災などで現在よりも食糧が不足することが予測されます。
国の平均年齢が若く、人口が多いほど経済的な強みがあるのは事実です。政府はそのために異次元の少子化対策をしているわけですが、食の安全保障の観点で考えると、人口減少はプラスの面もあるのではないでしょうか? 上記の表は内閣府のHPより引用しましたが、2100年に現在の約半分の6500万人になった場合、現在の日本の食糧自給率が38%なので×2=76%となり、農耕放棄地を再生し国土を有効利用できれば⇒限りなく100%に近い食糧自給率も可能だと思うのです。
食糧自給率がほぼ100%だった中国は、経済成長の陰で穀物自給率が75%にまで下がり、国策で強制的な増産を進めています。14億人のマイナス25%は約3.5億人分に相当し、食糧自給率38%の日本よりも数字的には自給率が高いのですが、人口が多いだけに深刻な状況と言えるでしょう。今年にもインドが中国の人口を上回ると予測されていますが、インドが更なる経済成長を遂げ国力を上げれば、中国・インドマネーで買い占められ、日本が買い負けをして、更に輸入しずらい状況が高まるでしょう。これに温暖化による天災が増加したら、間違いなく世界中が食糧の奪い合いで必死になります。
そもそも紀元前後に1~2億人だった世界人口が、下記の表のように産業革命頃に約12億人、1900年代の100年間で3.8倍となり、2000年には61億人、現在は更に20億人増加し、予測では2050年~2100年の間で100億を超える見込みになっています。人類は文明の発展によって種としての数を増やし過ぎたのかもしれません。
中国が1980年頃に導入した人口抑制政策、通称「一人っ子政策」は、2050年に中国の人口が40億人を超えるという試算があり、まだ世界の最貧国だった中国は食糧不足になる懸念から人口抑制を実行しました。その結果、日本同様に急速な少子高齢化が進み社会問題になっています。もしも中国が「一人っ子政策」を行っていなかったら、現在の80億人の世界人口は100億人を超えていたでしょう。
このまま世界人口が増えれば更に食糧不足となります。人口が増えれば更にエネルギーが必要となり、その結果、温暖化が加速することになります。しかし現状で経済成長には若い世代の人口増加が必須となり、人類は何を優先させるべきなのでしょうか? 判断を誤ると負のスパイラルに陥り、温暖化が加速し世界中が飢える状態になるでしょう。
岸田総理は3.5兆円の異次元の少子化対策と自負し、今がラストチャンスと訴えていますが、何を根拠にラストチャンスと言っているのか?私には正当化するためのアピールにしか聞こえませんでした。子供の数が増えることは、国として社会として理想ではありますが、人類が課せられた問題は多岐にわたります。日本は1200兆円の借金をしており、これから日本で生まれてくる子供は、生まれた瞬間に1,000万円の借金を背負うのです。この借金は高度成長後の50年間で作られた負の遺産で、このままでは借金はさらに増えて、50年後には一人当たりで2,000万円になるでしょう。そんな借金を背負わされる子供が幸せと言えるでしょうか?
さらに地球温暖化は途方もなく大きな問題です。現在でも飢えている人類が約7億人いるのに、今後25年で20億人増えたら、単純に考えても20億人以上が飢えることになります。更に温暖化の影響で穀物の不作が増加したら、人類全体が飢える可能性も否定できません。
非常に難しい問題で賛否はあると思います。非が多いと思いますが、人類が2050年のカーボンニュートラルを目指すように、人類全体で人口抑制を考えるヒューマンニュートラルを考える時期に来たのかもしれません。
世界全体で人口抑制するのは、現状では不可能と言えますが、仮にできたと想定すると、全ての国が同時に少子高齢化になりますが、人口抑制を継続すれば50年~80年でバランスの取れた人口分布に戻るでしょう。特に経済成長を強く望む新興国・途上国には、その代償として手厚い補償を、先進国も含めたすべての国に保証が必要だと思いますが、それを地球統一通貨で手厚く保証すれば良いと思うのです。
途上国では貧困から子供が労働力と考えられ、2億人以上の女性が避妊や中絶の正しい情報を知らず、避妊具すら入手できない状況で、国連もアジア・アフリカでの人口爆発を懸念しています。このまま世界人口が増加したら、飢餓人口は増える一方で、いくら先進国・新興国が支援しても問題は解決できないでしょう。それが分かっているのですから、早急に地球全体で人口抑制策に着手する必要があります。
中国での「一人っ子政策」は、2人目の子供に罰金(上海では約100万円)3人目には倍の罰金、入院・医療費が全額負担になるなど様々なペナルティーが課せられたため、負担の大きさから人口抑制に成功しました。
人口抑制を地球全体で考えた場合、中国のような方法では無理なため、人口抑制に成功した国には、その達成率に応じて報奨金を出すシステムを作るべきです。人口増加が止まれば(+-0)になればヒューマンニュートラル、その報奨金は「喉から手が出る」くらいの莫大なものにし、国が経済成長よりも最優先しなければならない金額にします。その金額は恐らく何千兆円も必要になると思うので、先進国にも準備できません。そもそもカーボンニュートラルを実現するために、8000兆円かかるという試算も出ており、新しい通貨でお金を作らない限りカーボンニュートラルも不可能かもしれません。そのためにも地球統一通貨が必要だと思うのです。欧州で1999年から導入されたユーロ、その20年前にユーロの誕生を予想していた人がいたでしょうか?考えている人はいたと思いますが、近い未来には必ず世界の通貨が統一される時が来るはずです。それが早いか?遅いか?によって未来の地球は大きく左右されることでしょう。
岸田総理は今がラストチャンスと強調し、異次元の少子化対策の結果を見るには、5~10年の歳月が必要だと思いますが、人口減少に歯止めがかかるのでしょうか? 世界的な人口爆発による負の側面を考えると、出生率を上げるだけでなく、足りない部分は移民で補う、前向きな移民政策に取り組む必要があると思うのです。先進7カ国で移民の受け入れに厳しいのは日本だけです。そもそも日本人の遠い祖先も、アフリカから旅立ち数万年の時をかけて、北方ルート・朝鮮半島ルート・南西ルートから移住してきたホモサピエンスで、多くの民族と交じり合って極東地にたどり着いた多民族の集合体なのです。レベルの低い元総理経験者が「日本は単一民族の国」と発言して問題になりました(今は副総裁?)国をまとめるために、民族・歴史にこだわりすぎるから、周辺諸国といがみ合い争うのです。
少し話がそれましたが、国が経済成長し、ある一定水準に達すれば、人口減少になるのは仕方がないことです。結婚しても子供を作らない夫婦もいます。その価値観も多様化しているのですから、国力のため、経済成長・維持のため出生率を上げるのではなく、気候問題・食糧問題を解決し、子供たちの未来が少しでも明るいものになるよう努力する。これを第一に考える必要があります。
少子化対策費(こども金庫)3.5兆円の原資も明確にされていませんが、財源を確保するまでつなぎ国債を発行することになるでしょう。赤字国債とは言い方は違いますが短期でも借金であり、財源が確保できなければ、なし崩し的に赤字国債となり国民が背負わされる借金が増えるのです。巨額な税金が使われるのですから、出生率がアップすることを望みますが、その一方で世界的な人口爆発を考えると望まない気持ちもあります。10年後に子供金庫がどのように評価されるのでしょうか?岸田総理は胸を張っていられるでしょうか?岸田総理には子供が生きる50・100年先の地球環境を喫緊の課題とし、ラストチャンスという言葉を使用して欲しいものです。
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